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東京高等裁判所 昭和48年(行コ)31号 判決 1974年4月24日

控訴人 深町輝明

被控訴人 神奈川税務署長

訴訟代理人 玉田勝也 柳沢正則 ほか二名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人が昭和四三年六月二九日付でなした控訴人の昭和三九年分所得税額を一三万三、〇〇〇円と更正した処分のうち一、六〇〇円を超える部分を取り消す。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人指定代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の主張および証拠関係は、次のとおり付加するほか、原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。

控訴人は、次のとおり述べた。

一  本案前の主張に対して

更正処分は、精算差額である「納付すべき税額」について行われるものではなく、算出税額について行われるものである。本件更正処分についてみるに、所得金額九七万二、三一八円、課税標準八四万三、〇〇〇円、算出税額一三万三、〇〇〇円で申告に係る所得金額一五万円、課税標準二万円、算出税額一、六〇〇円と比較して、本件処分は、明らかに増額更正処分である。たまたま控訴人は源泉徴収によりすでに一六万一、一一一円を納税していたため、精算の結果二万九、七一一円の還付を受けることになつたのである。従つて申告税額と右精算の結果による税額とを比較して、本件処分は、減額更正であるから訴えの利益がないとする被控訴人の主張は理由がない。

二  本案について

1  控訴人が日本音楽著作権協会から委任を受けた役務は、昭和三九年一二月三一日までに完了していない。現に控訴人は、昭和四〇年二月、刷新委員会において約一時間にわたり信託会計と協会会計の分離の方法について説明している。また控訴人の提供すべき役務は、会計監査についての報告書の提出に尽きるものではない。刷新委員会の構成員中には、著作権協会の運営方法の刷新について経済の基礎的知識をもつて問題是正点を指摘しうる者は、控訴人以外になかつた。そこで控訴人は、昭和四〇年になつてから、分配会計のコンピユーター利用またそれによつて生ずる問題点の指摘、勘定組織の是正、経理規程の問題点、収支会計よりみた協会会計の誤つている点、協会会計と信託会計の分離等につきとりかかつている。控訴人は、昭和四〇年一月一日以降も出勤を義務づけられてこれらの仕事をしてきたのであつて、とてもアフターサービスといいうるものではない。

以上のとおり控訴人の提供すべき役務は、昭和三九年一二月三一日には完了していないから、著作権協会より受領した金員は、右期日に収益を確定したとして処理すべきものではなく、一般に収益に転化すべきものとして右期日現在においては前受金として会計上の勘定処理をすべきものである。

2  そもそも収益の実現とは、費用の発生が終了し、かつ計上すべき収益の額が修正されることがないと確認できる時である。実現主義の究極の目的は、費用把握の時点よりもずらして収益の計上を確実にすることによつて、計算された利益の額を訂正されることのない確実な額にしたいということである。従つて収入をうるために直接要した費用(所得税法にいう必要経費)は、商品販売における売上原価と同じであるから、これを収入に直接対応せしめて所得を計算しようとするものである。(勿論期間配分をすることが一般に公正妥当と認められている管理費等についても同様に主張するものではない。)。よつて収益に対してまだ費用が発生するのではないかという時点では収益の実現はありえない。ところが控訴人が著作権協会から受領した報酬については、後に述べるとおり、昭和四〇年一月一日以降においても右報酬を得るに必要な経費が発生している。従つて昭和三九年一二月三一日までに右報酬は収益として実現したものということはできない。

被控訴人は、所得税法の所得計算規定よりして、長期間にわたる所得の確定が不可能な場合、恣意的所得操作が行われるおそれがあると主張するが、例えば長期間の建設工事については、進行基準をとらない限り、完成基準による以外所得計算の方法はない。この場合所得操作が行われるおそれがあるからといつて、期間が長すぎると文句をいわれることもなければ、また納期を延期しても非難される筋合のものでもない。かえつて、工事の途中で例外的に収益を計算する方法について制限が加えられているのは、税法が引渡基準をとり、収益を得るため直接要した費用である原価の算定をまつて所得を計算しようとしているからである。

3  被控訴人の主張する必要経費八三万八、七九三円は、別紙記載のとおり、昭和四〇年一月一日以降に発生した費用を含んでいる。これら必要経費の発生が終了するまでは収益は実現しないと解すべきことは前述のとおりであるが、著作協会から報酬による収入が昭和三九年に確定したものとすれば、昭和四〇年一月一日以降に発生した費用を昭和三九年の必要経費に含めて所得計算をすることは会計上ありえない計算といわなければならない。

被控訴人は昭和四〇年一月一日以降に発生した費用は、すべて昭和三九年一二月三一日現在の未払費用であると主張するが、昭和四〇年一月一日以降の費用は、すでに発生した費用の未払のものではない。例えば昭和四〇年一月一日以降の出勤に要した交通費、紙代鉛筆代を前年に発生した費用とみることは無理である。

被控訴人指定代理人は、次のとおり述べた。

一  本案前の主張について

本件における控訴人の請求は、控訴人の昭和三九年分算出所得税額(以下算出税額という。)を一三万三、〇〇〇円としてなした更正処分に対してこれを確定申告の算出税額一、六〇〇円を超える部分の取消しを求めるものである。しかしながら右算出税額は、単に確定申告によつて納付または還付すべき税額の計算過程において算出される数額にすぎないものであつて、元来税務訴訟の対象となりうるものは、更正等処分によつて税額を追徴される場合のその追徴税額であると解すべきである。

即ち、更正処分には、増額更正と減額更正があり、後者は、納税者に不利益をもたらす処分ではない。しこうして右減額更正は、確定申告(納税申告)書上の納付すべき税額(国税通則法第二条六号ニ)を減少せしめるものに限らず、還付金の額に相当する税額(同号ホ)を増加せしめるものも含むものである。右の納付すべき税額とは、算出税額から配当控除等の税額控除、源泉徴収税額および予定納税額の控除を行つた残額をいい、還付金の額に相当する税額とは、算出税額から前記各控除を順次行い、その結果控除しきれなかつた金額(ただし配当控除にかかる金額を除く。)をいう。

本件についてみるに、被控訴人は、還付税額を増加させる処分をすることにより、結局において減額更正処分を行つたものであるから、控訴人は、本件処分を争う法律上の利益を有しない。

二  本案について

1  所得税法や法人税法において課税対象とされている所得とは、私法上の権利関係をそのままその内容としているものではなく、経済上の概念である経済的成果(経済上の収益の支配)を内容としたものである。従つて所得の帰属年度を決定することは、その経済的成果の生じた時を認識することに外ならない。権利確定主義の立場に立つても、如何なる時点をもつて権利が確定したと解すべきかについては、個々の具体的契約内容その他法律上、事実上の各種の条件を検討して決定すべきである。しこうして人的役務の提供による収入については、「その役務の提供を完了した日」をもつて所得税法上の収入すべき時期と判断するのが相当であると解されている(旧基本通達一九八)。

控訴人は、収益の帰属年度の基準は、実現主義によるべきであるとし、収益が実現するのは、費用の発生が終了し、かつ計上すべき収益の額が修正されることのない確実な額として確認できる時点であるとするが、これは、企業会計原則上の実現主義に対する控訴人独自の見解に基くものであつて失当というべく、また税法の趣旨ならびにそれに基く諸規定の存在を看過している結果によるものといわざるをえない。

2  控訴人は、本件役務提供の委任者である日本音楽著作権協会に対して、その目的とする役務の提供を完了したのは、昭和三九年末である。従つて右役務の完了により前記収益は確定したものというべきである。

控訴人は、昭和四〇年二月刷新委員会において、協会経理の区分について約一時間にわたつて報告を行つた事実があり、この事実からみても、本件役務の提供は、昭和三九年末には完了していないと主張する。仮りに控訴人主張のような報告が行われたとしても、右報告は、昭和三九年末までに完了した役務に基く報告であり、いわばアフターサービスに属する役務の提供であるといわざるをえない。このように当初の契約上の役務の提供を完了させ、対価を収入しているにも拘らず、後日別段の対価なく行う附随的な役務にかかる費用の発生が予想されること等の理由を考慮して、控訴人の主張するように、すべての経費の支出が終了する時をもつて当該役務の提供による収入の確定時期と判断することにすると、役務の提供完了後、非常に長期間収入が確定できないおそれがあり、さらには納税者の恣意による収入確定時期の調整が行われることも予想され、ひいては公平な課税を維持しえない結果ともなりかねない。

なお、控訴人は、役務の提供は完了しておらず、従つて受領した対価は前受金であるとも主張するが、支払者である前記協会は、昭和三九年一二月末までの控訴人の役務提供の対価として支払つていることからみて、右主張は失当である。

3  本件の必要経費八三万八、七九三円は、本件更正処分をなすに際し、神奈川税務署担当官が控訴人から提出された計算書の必要経費とその領収書を調査検討した結果昭和四〇年になつてから控訴人が支出した費用のうちに本件役務提供にかかる昭和三九年末現在の未払費用と認められるものがあつたため、これをも含めて算出し、昭和三九年分の収益金額に対応する必要経費額と認定したものであつて、右認定にはなんらの誤りも存しない。

<証拠省略>

理由

一  本案前の抗弁について

被控訴人は、本件更正処分によつては、控訴人は、何らの権利または法律上の利益を侵害されていないと主張する。税務署長は、納税申告書の提供があつた場合に、納税者の申告した課税標準等または税額等の計算が国税に関する法律に従つていなかつたとき、その他その調査したところと異るときは、その調査により当該申告書に係る課税標準等または税額等を更正する(国税通則法第二四条)。右にいう税額等とは、納付すべき税額(同法第二条第六号ニ)、右税額の計算上控除する金額または還付金の額の計算の基礎となる税額(同号へ)および還付金の額に相当する税額(同号ホ)をいい(同法第一九条第一項)、右にいう納付すべき税額とは、課税標準に税率を適用して算定した金額(被控訴人のいう算出税額、もつとも前記同号へに規定する税額控除額を控除する。)をいうものであつて、被控訴人の主張する如く、右金額からさらに源泉徴収税額および予納税額を控除した残額をいうものではない。もともと源泉徴収所得税および予定納税所得額は、年税額の予納として納税されたものであつて、確定申告により精算される建前となつており、前記納付すべき税額からこれら税額を控除した残額を申告納税し、あるいは控除しきれなかつた額を還付するのは、単なる精算手続にすぎない(所得税法第一二〇条第一項、第一二八条第一三八条第一三九条参照)。従つて更正処分により納付すべき税額が増額された場合には、控除すべき源泉徴収税額あるいは予定納税額が増額された結果、申告納税額が減少し、あるいは還付金額が増額しても、やはり増額更正であり、納税者にとつては不利益処分というべきである。控訴人は、本件において昭和三九年分所得税額を一、六〇〇円と申告したところ、本件更正処分により一三万三、〇〇〇円に更正されたとして、右増差額につき取消しを求めるものであるから、訴えの利益を有するものといわなければならない。たまたま控訴人には控除すべき源泉徴収税額一六万一、一一一円があつたため、二万九、七一一円還付されることとなつたとしても、本件更正処分は増額更正であり、控訴人は、右処分中増差額の取消しを求める利益を有することは前記のとおりである。よつて被控訴人の本案前の抗弁は理由がない。

二  本案についての判断

1  処分の経緯

<証拠省略>および弁論の全趣旨を総合すれば、控訴人の昭和三九年分所得税額について、控訴人は、収入金額二〇万円、必要経費五万円、所得額一五万円、所得税額一、六〇〇円と申告したこと、被控訴人が昭和四三年六月二九日付で収入金額一八一万一、一一一円、必要経費八三万八、七九三円であるとして、所得金額九七万二、三一八円、税額一三万三、〇〇〇円と更正する処分をしたこと(被控訴人が上記日付で、所得金額および税額がいずれも上記のどおりの更正処分をしたことは、当事者間に争いがない。)が認められ、右処分に対し控訴人は、同年七月一日付をもつて被控訴人に異議申立てをなしたが、被控訴人は、同年九月一九日これを棄却したため、控訴人は、同年一〇月三日東京国税局長に対し審査請求をなし、同局長は、昭和四四年三月二五日右請求を却下する旨の裁決をなしたことはいずれも当事者間に争いがない。

2  収入金額およびその権利確定時期

(一)  被控訴人は、控訴人が著作権協会から委任を受けた会計監査報酬として昭和三九年一二月三一日までに一四五万円、税込金額(一〇%の源泉徴収所得税控除前の金額)に換算すると一六一万一、一一一円(前記更正にかかる収入金額中申告額を超える額)を受領しており、右金額は、控訴人の昭和三九年分の事業所得の収入金額であると主張するのに対し、控訴人は、同年末までに著作権協会から一四五万円を受領したが、右金額は、同年の収益として確定していないと争うので、この点について判断する。

<証拠省略>によれば、

(1) 控訴人は、昭和三九年七月頃、知入の岡昌利弁護士を通じて著作権協会の一部会員で構成されている日本作曲家組合から著作権協会のずさんな経理を正すため、その会計監査を依頼され、監査に着手した。

(2) 当時著作権協会の内部において、会長、監事の選挙を契機として理事者側と日本作曲家組合との間に紛争が生じていたが、その後両者間で話合いが行われ、著作権協会は、その業務運営等刷新改善と会員、信託者の利益増進を図るため、同年一〇月一五日協会内に経営刷新委員会を設置し、同委員会の下部機構として経理専門委員会を置き、協会の経理に関する不審および責任を明らかにし、これを経営刷新委員会に報告させることとした。控訴人は、右経理専門委員会設置と同時に専門委員会を委嘱され、前叙の日本作曲家組合の依頼に引続き同協会の会計監査を実施することになつた。

(3) 控訴人は、調査の結果に基き、同年一〇月末頃口頭で、同年一一月および一二月にはいずれも文書で報告をしたが、それ以後文書による報告はなされていない。

(4) 経営刷新委員会は、同年一〇月三〇日第二回委員会において、経理専門委員会の調査報告と調査資料全部の提出を受けるため、経理専門委員会主査宮城靖男の要求により、同委員会の調査期間および同委員会設置前の日本作曲家組合の依頼による調査期間をそれぞれ三ケ月、合計六ケ月につき一ケ月当り税引き一〇〇万円、計六〇〇万円、税込み六六六万六、六六六円を前記調査の報酬として同委員会の構成員に支払うことを議決し、著作権協会は、右議決を了承し、これに基き控訴人に対し同年一二月末日までに六回にわたり、前記宮城靖男を介して合計一四五万円を支払い、控訴人はこれを受領した。

(5) 経理専門委員会は、昭和四〇年二月二四日解散し、控訴人は、その頃慰労金として税引き額一〇万円を受領した。経営刷新委員会も同年三月頃解散したが、これにあきたらず思つた一部会員は、三百人会を組織し、控訴人は、同会の依頼を受け、引き続き著作権協会の経理の不正を究明、改善する作業に従事した。

以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

ところで、事業所得の収入金額の権利確定の時期は、原則として収入すべき金額の基礎となつた契約の効力発生の時とすべきであるが、委任契約による収入については期間により報酬を支払う旨の特約または慣習のない限り、受任事務の履行完了の時と考えるべきである。前記認定事実によれば、控訴人は著作権協会の委嘱を受け会計監査をすることになつたのであるが、同協会は、前記宮城靖男の要求により経理専門委員会の作業は昭和三九年一二月末日まで終了するものとして報酬を支払つたものであり、従つて同協会としては、昭和四〇年一月一日以降右委員会が作業を継続することを期待または要求していなかつたものと考えられ、一方控訴人は、昭和三九年一二月に報告書を提出した以降調査報告書を提出していないのであるから、控訴人の受任した役務の提供は、昭和三九年一二月末日までに完了したもの、少くとも著作権協会が支払つた前記報酬は、控訴人が右期日までに提供した役務に対して支払われたものと解するのが相当である。してみれば、右報酬に対する控訴人の役務の提供は昭和三九年一二月末日までに完了したのであるから、右報酬による収入は、昭和三九年一二月末日までに確定したものというべきである。

控訴人は、昭和四〇年二月、経営刷新委員会において協会経理の区分について約一時間にわたつて報告をした事実があり、この事実からみても、本件役務の提供は、昭和三九年末に完了していないと主張し、<証拠省略>により右事実が認められるけれども、著作権協会は、昭和四〇年一月一日以降控訴人から役務の提供を受けることを期待しておらず、また報酬を支払う意思もなかつたのであるから、右報告の事実をもつて控訴人の本件報酬に対し提供すべき役務は完了していなかつたということはできない。

控訴人は、収益の帰属時期は、実現主義によるべきであるとし、費用の発生が終了し、かつ計上すべき収益の額が修正されることのない確実な額として確認できる時点であると主張するが、まず収益が確定され、それに直接、間接対応する費用が確定され、期間的損益の把握確定がなされるのであるが、役務を提供した後において、未払費用あるいは発生した費用の額の未確定の場合はとかくとして、新たに必要経費が発生することは通常考えられないところであつて、控訴人の主張は、企業会計原則上の実現主義に対する独自の見解に基くものであり、採用に値しない。

(二)  弁論の全趣旨によると、控訴人が著作権協会から受領した前記一四五万円は、一〇%の源泉徴収所得税額を控除した金額であることが認められ、これを控除前の金額として算出すると一六一万一、一一一円となる。そして控訴人が昭和三九年分の収入額として右のほか二〇万円の申告をしていることは前認定のとおりであるから、控訴人の収入額は一八一万一、一一一円となる。

2  必要経費の額

被控訴人は、必要経費は昭和三九年一二月末日現在の未払費用を含めて八三万八、七九三円であると主張し、控訴人は、右金額中には、別表記載のとおり昭和四〇年一月一日以降同年二月二四日までに発生した費用六万〇、四七七円が含まれており、これはいずれも前年に発生した未払費用ではないと主張する。右八三万八、七九三円より六万〇四七七円を控除した残額が昭和三九年分の収益に対する必要経費であることは当事者間に争いがなく、右六万〇、四七七円のうちに昭和三九年一二月末日までに発生した費用の未払分(未払費用)に該当しない金額があるとすれば、それは昭和三九年分の収益に対応する必要経費として右収益から差引くことはできないけれども、経費の計算が増額することは、結局控訴人の利益に帰するものであるから、控訴人は右違法を主張する利益を有しないものというべきである。

3  所得金額および税額

前記収入額一八一万一、一一一円から必要経費八三万八、七九三円を差引くと所得金額は九七万二、三一八円となり、これに所得税法を適用して所得税額を算出すれば一三万三、〇〇〇円となる。

三  結論

以上のとおりであるから、本件更正処分には取り消すべき違法の瑕疵はなく、右処分の取消しを求める控訴人の請求は理由がなく、棄却すべきである。

よつて右と同旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、行政事件訴訟法第七条民事訴訟法第三八四条第一項第九五条第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 石田哲一 小林定人 関口文吉)

別表<省略>

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